糖尿病と合併症
糖尿病はコントロールさえうまくできていれば健康な人と同様の日常生活を送ることができます。また合併症が現れていなければ自覚症状も少ないため、入院施設のある病院で入院されている糖尿病患者は重症患者の後回しにされ、軽視されがち、また看護の介入も少ない・・・という話も聞いたことがあります。
しかし、糖尿病の合併症は大変おそろしいものなのです。糖尿病の合併症といっても糖尿病は全身に変化をもたらす病気ですから、合併症も全身におよびます。
三大合併症として、@糖尿病性網膜症、A糖尿病性腎症、B糖尿病性神経障害があります。
@は眼底出血をおこして失明する危険があり、Aは重症化すると透析も必要になる場合があります。またBは初期にピリピリするようなしびれや痛みを感じますが、だんだんと知覚神経も侵されるため、痛覚も感じなくなり、靴ずれなどの気づかないような小さな傷から細菌感染をおこして壊疽になることもあります。
その他の合併症としては、全身的に感染症にかかりやすくなり、健康な方なら大事に至らない風邪でも肺炎を起こしたりするのです。皮膚の抵抗力も低下し、湿疹やかぶれも現れることもあります。血管の変化も健康な方より早期に現れ、脳梗塞や心筋梗塞の発祥頻度が増すという統計結果もでています。その他、虫歯、下痢、便秘、水虫、尿路感染、異常妊娠、高脂血症などは糖尿病が誘因となって起こるといって良いでしょう。
これらの予防方法はやはり血糖値のコントロールです。高血糖状態が続くと出現しやすいこれらの合併症ですが、コントロールの状態が良ければ、合併症に至らないまたは合併症の進行を遅らせることができます。
毎日血糖をコントロールするのは大変なことですが、それにも慣れて意識しなくてもラクにコントロールできる日が必ずやってきます。自分なりのコツをつかんで頑張っていきましょう!
臨床検査技師・管理栄養士
木下恵里
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