インフルエンザ治療薬の2つのタイプ
インフルエンザ治療薬が登場したのは、比較的最近のことです。現在使用できるのは、インフルエンザA型治療薬のシンメトレルと、A型とB型の両方に効くタミフル、リレンザの2つのタイプがあります。
前者のシンメトレルは、実は、日本ではパーキンソン病治療薬としての歴史が長い医薬品で、1975年に臨床使用が開始されました。インフルエンザA型の予防・治療薬としての使用が認められたのは、1998年です。ちょっと変わった経歴の薬です。
長く使用されている薬は、私たちに非常にメリットがあると思います。第一に、長く使用されてきたというのは、安全であったということの証明です。次に、使用した患者数が多いため、使用状況についての情報が豊富です。副作用がでた場合でも、それがどの程度の頻度で起こるものなのか、どのように対処すればよいのか、そう心配するものではないのか、注意が必要なのかなど、情報が蓄積されています。患者の心配にも、医師は余裕をもって応えることができます。また、薬の値段も安価で、シンメトレル1日分は80円です。
後者のタミフルとリレンザは、新薬です。インフルエンザ治療薬としての有効性が認められたピカピカの薬です。しかし、発売になるまでの臨床試験ではわからなかった薬の作用があるかもしれません。誤用した場合の対処法などの蓄積も、何年、何十年と使用されてきた薬に比べると少ないはずです。この薬ははじめてという患者様にお薬をお渡しするときは、ねらい通りに効いてくれますようにと、祈るような気持ちです。服用中あるいは服用終了後に何か気になることやかわったことがあれば、ご連絡ください。どんなふうに効いたかも是非教えてほしいと思っています。でも、よくなれば患者さんはもうクリニックには来ませんので、効き目が確認できないのはしかたないですね。こちらの、タミフルとリレンザは1日分で、それぞれ760円と720円です。大きな期待に応えて、研究に研究を重ねて開発された分、価格は高くなっています。
薬剤師 白井 速
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