医療法人白井内科クリニック
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診察室便り その6

糖尿病の合併症(1) 神経因性膀胱

自律神経の神経障害

糖尿病の罹病歴が長くなりますと、血糖コントロールがよくない場合には様々な不調が体に生じてきます。その中で、自分自身にはわからないけれども体には結構ストレスになっているものの一つに自律神経の神経障害というのがあります。自律神経とは血圧や心臓、胃や腸などの内臓が、意識することなくきちんと動作するように体をコントロールしている、人間のライフライン、町でいうなら、ガス、水道、電気みたいなものです。

膀胱の神経支配

膀胱も、尿がたまれば収縮し、尿道が開き、おしっこがでます。膀胱は極めて複雑な神経支配を受けており、一定の尿がたまり、膀胱内の圧力が高まれば何度も収縮を開始しますし、尿道を尿が流れ始めるとさらに収縮し、たまった尿をすべてだそうと努力します。出ているおしっこを途中で止めようと思ってもなかなか止められないのも、そうした、すべての尿を出し切ろうとする膀胱の自律神経がきちんと働いているからに他なりません。

神経因性膀胱

血糖コントロールが悪い中年以降の女性患者さんのなかに、膀胱がきちんと収縮しない、神経因性膀胱を来している場合がたくさんあります。これはいったいどういうことかと申しますと、正常ならば尿が十分たまれば、おしっこを出したいという尿意が生じます。これは膀胱が、圧力の高まりを感じて収縮し始めるから生じるものですが、これが極めて弱とうい、または、尿意があって排尿しても膀胱内には多量の残尿が残る、というものです。残尿があればなぜよくないか、ともうしますと、そこに、様々な細菌が繁殖し、膀胱炎や、ひどい場合には腎盂腎炎になります。腎盂腎炎を繰り返した場合には腎臓の機能が低下する場合があります。なんと残尿が1000ccを超えても本人は病気と自覚しないことがあります。

ある時、腹部に巨大な腫瘤が生じたといって婦人科を受診し、巨大卵巣嚢腫(のうしゅ)と診断されて、手術寸前までいった患者さんがいました。手術台で看護婦さんが導尿カテーテルをいれたところ猛烈な勢いで尿がでて、すっかり腹部の腫瘍が消えてしまいました。このときはなんと1800cc、一升瓶一本分の尿がたまっていました。患者さんは手術をしなくても済んだということで喜んでいましたが、婦人科の先生はショックでした。

神経因性膀胱の検査と治療

糖尿病で自律神経が障害を受け、このような病態が生じることは、多くの患者さんにとって驚きのようです。膀胱炎を繰り返すことの裏にはこのような神経因性膀胱がひそんでいることが珍しくありません。すすんで検査を受けることを提案します。検査とはエコーで排尿後どのくらい残尿がたまっているかを検査します。泌尿器科ではさらに詳しい膀胱機能検査を行います。もし、排尿後でも残尿が100cc以上あるようならば、導尿やバルンカテーテルという風船付きの柔らかい管を膀胱に挿入し、残尿をすべて出し切ることが必要です。血糖コントロールをよくして、残尿をすべて出しきっているうちに、膀胱の機能は改善してきます。膀胱を収縮させたり、尿道を開いたりするお薬もあるのですが、効果は強くありません。患者さんは尿道や膀胱の異常があるといわれても、検査や治療にはためらいがあります。でも、放置して治ることはまずありません。恥ずかしくともしっかり医師に相談し、治療を受けることをおすすめします。

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